萬代橋西詰にあり露の句碑
水打つてあり軒燈にかき正と
つゆけしや摺足でゆく畳にて
簟ところどころがひんやりと
掛香や座敷に入ればなつかしく
高濱家ここに集ふや菊膾
秋灯に寄りて八人ひとつ卓
ときどきは風立て扇名残かな
父上を覚えてますと生身魂
月白の曇り硝子に松の影
かなかなや百年前の出窓に灯
階上は句謡会の間月上る
三階へみしりみしりと月の人
虚子みづほ並び坐るや扇置く
いざよひの月を蔵して大樹かな
どびろくや電燈に虫ぶつかり来
先代のままのご不浄ちちろ鳴く
宵闇や対岸の灯のゆれうごき
この町に知合ひ減りし金風忌
盆過ぎや流木ここに流れ着き
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