「新しき村」へ下りゆく朝曇
はやも草刈られて畦の長かりき
脇により日傘に畦をゆづりたる
梅の枝の低きにぶつけ夏帽子
木の暗に脚立の脚をぐとひろげ
馬穴より空け泥つきの二番草
青田ありソーラーパネルべたとあり
値札つく土用太郎の鶏糞よ
村民といふことばあり汗くさく
たかだかと五色の村旗風死せり
実篤の蟇空彦の青蛙
すぐそこに大愛堂や落し文
いまはもう鶏舎からつぽ昼寝時
幼稚園むかしありしと合歓の花
大暑かな梧桐の幹二夕岐れ
老鶯や古井戸のもう使はれず
実篤の硯小さき風通し
てんと虫炭焼窯は草中に
自転車の籠の麦稈帽子かな
村を出る踏切ひとつ茗荷の子
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