辻桃子主宰作品 「童子」 2月号 菊の賀 より

    「童子」三十周年十月二十九日

並べては三十鉢や菊の庭

菊の賀の菊紋様(きくもんやう)をえらびけり

盃の(ふち)をあふれて新走り

なめるほどなれど受けたる新酒かな

菊の賀の菊の着物を脱ぎホッと

日短かのめし食うて気を取り直し

江戸川を眼下にしたり紅葉狩

本日は男七人紅葉狩

紅葉狩先行く組と遅れ組

もみぢ狩燻製作る箱も見て

剛直な新蕎麦打つてくれにけり

新蕎麦やつけ汁はほんのり温く

秋冷の琉金いたく老いにけり

耕してほんに黒土冬立てり

    十一月十一日新鎌倉句会

鎌倉の大路の松や新ちぢり

初冬の木の影落ちて寺障子

(しが)漏れのしみのきいろき障子かな

秋明菊式部の実とてみやびなる

しじみ蝶翅をひらけばうす青く

鹿除といふ棒なりきからと落ち

    白桃句会に五年ぶりに山口珊瑚さん

その方のおかはりなくて冬に入る

俳号は珊瑚立冬句座に在し

    想望秋田句会

鷹狩に行つてお留守や如斯亭は

逝く者は斯くの如くと水澄めり

喧嘩早き加藤郁乎やインバネス

どら焼と見れば解くなり懐手

弁当の鮭紅々と日短か

三島忌や由紀夫爽波は水泳部

熱燗や今夜は男ばかりにて

擂鉢に擂り山芋が痛いよと

(かりがね)や近江は堀を縦横に

子より来る小鮎飴煮も雁の頃

淡海なる小鮎煮で()り鮎落つる

()の煮たる切干届く荷の小さ

うすくうすく母にむきやる冬林檎

冬仕度(うま)()(ざら)のあいらしく


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